2019年04月30日更新
1マイルあたりの価値はいくら?JALやANAの違いや換算・還元率について
貯まったマイルで飛行機に乗ったり、買い物ができるようにマイルはお得で便利なものというイメージがありますが、1マイルの価値がいくらなのか知っているでしょうか。いくらの価値かわかると使い方も効果的にできます。今回は1マイルの価値、還元率や使い方を紹介します。

1マイルあたりの価値はいくら?
飛行機に乗ったり、ANAカードやJALカードで買い物するとマイルが貯まります。この貯まったマイルを使えば、今度は飛行機にタダで乗れたり、電子マネーやギフト券などに交換できます。いわばマイルはお金のような役割を果たす訳ですが、この1マイルにはいくらの価値があるのか興味があるところです。
1マイルの価値は使い方(交換する対象)が何であるかによって変動します。1マイルの価値が一番その威力を発揮するのが飛行機の航空券を購入する場合です。マイルで購入する航空券のことを「特典航空券」といいます。
特典航空券は空港間の距離、利用する時期によって必要となるマイル数が変わります。距離はその長短で必要マイル数が大小します。利用する時期は、旅行閑散期であれば少ないマイル数で、旅行繁忙期であれば多くのマイル数が必要という設定です。ANAの場合、ローシーズン、レギュラーシーズン、ハイシーズンの3つの区分で構成されます。
閑散期は席も売れ残るため、必要マイル数を低く設定して飛行機利用を促す(特典を回収する)のが航空会社としては合理的です。逆に繁忙期は席も混み、販売による売上げ増加が見込めるので、なるべく特典を使えなくした方が理に適っています。このような理由から、利用する時期によって必要マイル数に差をつけています。
1マイルの価値は、航空券の運賃代金を分子に、必要となるマイル数を分母にして、除算により計算できます。行先やチケット購入日によって、分母も分子も変化するため、1マイルの価値がいくらになるかは常に変動します。
1マイルいくら?①新千歳から神戸
例えば、2019年4月16日の新千歳空港発神戸空港行きのANA航空券(普通席、フレックス)を購入すると片道44,670円が必要です。一方、特典航空券で購入する場合は、6,000マイル(ローシーズン)が必要です。したがって、1マイルは7.445円に換算される計算です。
分母の6,000マイルは、レギュラーシーズンは7,500マイル、ハイシーズンは9,000マイルになります。分子の運賃が同じであれば、それぞれ1マイルの価値は5.956円、4.963円と換算されます。実際には運賃も日によって変動しますが、必要マイルほどに変動しませんので、結果、1マイルの価値は概ね上記のような傾向を示します。1マイルの価値を最大限に活かそうとするなら、ローシーズンに利用するのが賢い使い方です。
1マイルいくら?②松山から伊丹
同じく同日、松山空港発伊丹空港行きのANA航空券(普通席、フレックス)を購入すると片道18,460円が必要ですが、特典航空券の場合は5,000マイル(ローシーズン)で済みます。したがって、この場合は1マイル3.692円に換算される計算です。
こちらの区間についても同じくレギュラーシーズン(6,000マイル)、ハイシーズン(7,500マイル)があり、それぞれ換算すると、前者は3.077円、後者は2.461円となります。新千歳―神戸間の場合と比べると、分子の減少率に比べて分母の減少率は低いため、1マイルの価値は、松山―伊丹間の方が低くなります。
1マイルいくら?③海外旅行
海外旅行(国際線)の場合も、国内線と同じようにして必要マイル数が決まるのですが、海外の場合は旅行区間、時期に加えて、座席のランクも必要マイル数を決定する要素です。旅行区間は、ANAの国際線特典航空券の場合、世界を10のゾーンに分けて必要となるマイル数を決定します。
例えば、Zone1が日本、Zone2が韓国(ソウル)、Zone3がアジア1(北京、上海、香港など)といった具合に範囲ごとにZoneを設定します。このゾーンごとに、ローシーズン、レギュラーシーズン、ハイシーズンのシーズンチャートが決定され、搭乗する席のランクに応じて、必要マイル数が決まります。
例えば2019年4月20日の羽田空港発アメリカ(サンフランシスコ)行きの航空券(ビジネスクラス)を購入すると、片道約800,000円掛かります。一方、特典購入券を購入すると、75,000マイル(ローシーズン)が必要です。したがって、この場合は1マイル約10.6円の価値となります。
海外の場合は航空券の運賃代(分子の数値)も変動幅が大きく、分母となる必要マイル数も大きく変動します。エコノミークラスなら40,000マイルで足り、ファーストクラスなら150,000マイルが必要です。また、同じビジネスクラスでも、レギュラーシーズンは85,000マイル、ハイシーズンは90,000マイルです。
海外旅行の場合は、価値の変動が大きく、1マイルがいくらの価値であるか標準は示しがたいところです。移動距離が長くなれば運賃費用も高額に上り、マイルで代用するお得感は大きく、一般的には国内旅行の場合と比べると1マイルの価値は高いと考えられます。
1マイルの距離
ところで1マイルは距離を表す概念です。1マイルは1.61キロメートルです。競馬にマイルカップとかマイルチャンピオンシップというG1レースがあるので、競馬ファンなら1マイルの距離は常識でしょう。空港間の距離については、IATA(国際航空運送協会)のTPM(運賃計算に使用する区間距離)によります。
例えば、福岡空港―新千歳空港の直線距離は、1414キロメートルを示します。1マイルは1.61キロメートルですから、福岡空港―新千歳空港は878マイルということになります。一方ANAマイレージチャートによれば、同区間の区間基本マイルは882マイルなので、微妙な誤差があります。このような誤差は他の空港間でも見られ、TPMは直線距離を表していないと考えられます。
1マイルいくら・タクシー編
日本交通のタクシーのご利用運賃によると、初乗1.052㎞で410円、237m毎に80円加算という距離制運賃となっています。一方、時間帯が深夜や早朝の場合には割増があり、時速10㎞以下で走行した場合90秒ごとに80円加算があったりするので注意が必要です。
例えば、深夜早朝でない時間帯の1マイルは、410+80円×3=650円という計算になります。また、深夜・早朝の時間帯(22時~翌5時)は2割増しとなるので、概ね、650円×1.2=780円になります。
タクシー料金をANAカード等で支払えば、税込み100円あるいは200円につき1マイルが付与されます。650円相当なら6マイルあるいは3マイルが付与される計算です。1マイルではありません。しかし、航空券と異なり、現状、マイルをタクシーで利用することはできないので、それが乗降に関しいくらの価値を有しているかは判らないことになります。
1マイルはいくら?JALやANAの違い
1マイルの価値はJALとANAでは微妙に異なります。ここでは、ANAマイルとJALマイルをクーポン券や電子マネー、航空券などに交換した場合の価値の違いについて比較してみます。なお、マイルの使い方(交換先など)は、概ね同じです。
違い①クーポン券の場合
JALは10,000マイルを12,000円相当のJALクーポンに交換できます。12,000円は2,000円券×6枚に引き換えできます。JALクーポンは、航空券、ツアー購入、機内販売や宿泊、飲食などに使用できます。有効期限は申込日の翌月から起算して13月後の末日までです。
ANAは10,000マイルを10,000円分の「ANAご利用券」に交換できます。「ANAご利用券」は、1セット5,000円×2枚です。「ANAご利用券」も、航空券のほか、宿泊や機内販売商品などの支払い、買い物や食事の支払に利用できます。有効期限は発行日より12か月目の末日までです。
いずれも交換対象サービスは提携ホテルでの宿泊やレストラン等での食事、買い物等の利用であり、本質的な違いはありませんが、換金率やクーポンの枚数などの点でJALの方がANAよりも優位に立っているといえます。
違い②電子マネーの場合
JALマイルやANAマイルは電子マネーにも交換できます。還元率は様々ですが、1マイルにつき「WAON」1.1、「Suica」1.0、「dポイント」1.0、「Amazonギフト券」1.05、「ビックポイント」1.0などの換算率です。概ね1マイルが他の電子マネー1ポイント前後に相当します。
ANAマイルの場合も、1マイルにつき、「楽天Edy」1.0、「iDバリュー」1.0、「楽天スーパーポイント」1.0、「Tポイント」1.0、「nanacoポイント」1.0、「Suica」1.0などの還元率です。こちらも概ね1マイルが1ポイント相当に設定されています。
違い③国内線の特典航空券の場合
2019年4月18日の羽田空港から新千歳空港までのビジネス切符(往復)は、ANAもJALもいずれも32,860円です。また、ANAもJALも12,000マイルが必要です。同日はANAはローシーズン、JALはディスカウントマイル対象期間扱いで、いずれも通常よりも低いマイル数でよい日です。
一方、2019年8月1日に同区間を旅行すると、JALの必要マイルは15,000マイル(通常)であるのに対し、ANAの必要マイルは18,000マイル(ハイシーズン)です。座席の運賃にそれほど差がないとすれば、必要マイル数が大きいANAの方が1マイルの価値は低くなり、JALの方が優位です。
違い④国内近距離路線の航空券の場合
羽田空港―名古屋(中部国際)空港の場合も調べてみます。2019年4月18日のANAの同区間のビジネスきっぷ(往復)は18,200円、必要マイルは10,000マイル(ローシーズン)でした。JALの場合もビジネスきっぷで18,200円、必要マイル数は10,000マイル(ディスカウントマイル適用期間)です。つまり、両者の価値に違いはありません。
同じく2019年8月1日に購入すると、JALは12,000マイルが必要なのに対し、ANAは15,000マイルが必要になります。この場合は両者に違いが生じますが、座席の販売価格の差よりも特典航空券に必要なマイル数が影響を与えています。
違い⑤国内マイナー路線の航空券の場合
国内マイナー路線は、JAL・ANAの一方は運航しているが他方は運航していないという違いがあります。地域によっては過剰供給となり、2つの大手航空会社が飛行機を飛ばす必要がないからです。例えば、鳥取空港―羽田空港はANA便のみの運行ですし、出雲空港―羽田空港は大手はJAL便のみの運行です。
マイナー路線は競争原理も働かないことから、座席代金も一般的に割高であるといわれています。一方、必要マイル数は全国一律に距離を基準に設定されます。つまり、分子となる座席代が大きく、分母となるマイル数は一定であることから、マイナー路線については総じて1マイルあたりの価値が高いと考えられます。
違い⑥海外旅行の特典航空券の場合
ANAとJALでは、海外旅行の特典航空券の必要マイル数に違いがあります。上記のとおり、2019年4月20日のANA羽田空港発アメリカ(サンフランシスコ)行きの特典航空券(ビジネスクラス)は片道75,000マイルですが、JALは50,000マイルです。JALはシーズンによって必要マイル数が変動しないことが大きな特徴です。
JALの1マイルはいくら?
1マイルの価値は、上記のとおり、交換先によって異なります。特典航空券へ交換する場合の1マイルの価値が最も大きいのは間違いありませんが、それにしたところで行き先や航空運賃などにより1マイルの価値がいくらになるのかは常に変動します。
JALの場合、特典航空券も必要マイル数が少なく、1マイルの価値がANAよりも高い傾向があります。この傾向は他のクーポン券や電子マネーでも同様です。特典航空券の場合は、1マイルが5円~10円程度の価値として機能する場合もあり、安易に電子マネー等に交換せずマイルを貯めて保有しておくのが賢明な使い方です。
JALの1マイルはいくらあれば貯まる?
羽田―新千歳間を往復32,860円払って貯まるマイル数は1,020マイルです。32円当たり1マイルが付与される計算です。一方、JALカードで買い物する場合は、200円当たり1マイルあるいは、100円当たり1マイル(キャンペーンなどの場合)が付与されます。飛行機利用の方が買い物等の場合よりもマイル付与率が高くなりますが、飛行機に乗らず効率よくマイルを貯める「陸マイラー」と呼ばれる人たちも存在します。
1マイルの換算・還元率
1マイルの換算・還元率は、「1マイル当たりの交換率」を「1マイルを取得するのに要した金額(付与率)」で除することにより算出されます。経済活動的には換算・還元率が高ければ高いほど優秀な交換行為を行っているといえます。具体的には、交換率を高めるか、付与率を高め(少ない額でマイルを多く取得す)ればよいわけです。
注意すべきは、マイルの取得は複数の行動の積み重ねの結果であり、付与率は一定しません。上記のとおり、飛行機に乗ってマイルを貯め特典航空券に交換するのが最も経済合理的であることは疑いありませんが、そのような使い方ができるワールドワイドなビジネスパーソンは世の中にそういないはずです。
国内線の場合
上記の例で、新千歳発神戸行きのANA航空券44,670円は、6,000マイルで交換できます。つまり1マイル=7.445円の交換率です。一方で、羽田―新千歳間は32円当たり1マイルの付与率でした。この交換を行うと、7.445/32=23.2%という高い換算・還元率が算出されます。一方、すべてカードで買い物してマイルを貯めるとすると、100円(又は200円)につき1マイルなので、7.445/100=7.45%(又は3.73%)の換算・還元率です。
国際線の場合①ビジネスクラス
例えば、東京からパリ(シャルルドゴール)までの往復航空券をビジネスクラスで購入すると、出発日や到着日でかなりの価格変動幅がありますが、1マイルの交換率は2.5円~6.0円程度です。上記付与率で計算すると、1マイルの換算・還元率は7.8%~18.7%です。一般的には、距離が長くなることや座席のクラスが上がることは交換率を高める要因となります。
国際線の場合②ファーストクラス
ファーストクラスの場合は価格がさらに跳ね上がります。東京―パリ間は約299万円という一般庶民には手が出ない金額が必要です。しかし、ファーストクラス利用で必要なマイル数は300,000で済みます。この場合、1マイルの交換率は9.96円であり、換算・還元率は実に31%を記録します。
国際線の場合③エコノミークラス
逆にエコノミークラスで行く場合は座席の価格は105,000円程度~299,000円程度と幅がある一方、必要マイル数が100,000なので、1マイルの交換率は相対的に低く、1マイル1.05~2.97円です。1マイルの換算・還元率は、3.2%~9.3%です。
1マイルの使い方
以上の1マイルの換算・還元率のとおり、交換率が高い交換先に使うのが賢いマイルの使い方です。常にファーストクラスで海外旅行するのは無理だとしても、多くのマイルが貯まったときにはローシーズンに旅行するなどの使い方をするとよいでしょう。
クレジットカードを使うとお得
使い方としては日常的な需要があるのは旅行よりも買い物であったりします。貯めたマイルは、ANAカードやJALカードなどクレジットカードを使うと便利に買い物できます。クレジットカードで買い物等をすれば、マイルで支払うことが可能なうえに、今回の買い物等につきさらにマイルが付与されるので好循環な使い方です。
JALマイルの交換先
JALマイルの交換先には様々なものがあります。特典航空券をはじめ、JALクーポン、各種電子マネー、JALとっておきの逸品などです。電子マネーは、Amazon、ローソンPontaポイント、Suicaなどに交換できるので、基本的には交換先に困ることはないでしょう。
1マイルを2倍速で貯める方法
使い方と同じか、それ以上に大事なのは貯め方です。JALカードを持っている多くの人が利用する有名なマイルの貯め方があります。この貯め方だとJALマイルを4倍で貯めていくことができますので、簡単にご紹介します。
JAL特約店で貯める
通常は200円=1マイルですが、JALカードのショッピングマイル・プレミアムに入会すると、100円=1マイルとなります。また、JALカード提携の特約店でカードを使うと、ショッピングマイルが通常の2倍貯まります。つまり4倍です。JAL特約店は全国に52,000店舗あり身近な場所で使用できます。
JALカードショッピングマイル・プレミアムに入る
JALカードショッピングマイル・プレミアムに入るにはJALカード年会費に3,240円(税込)をプラスする必要があります。費用は掛かりますが、その分マイルが貯まりやすくなります。マイルの価値を考慮すれば3,240円は必要経費として甘受すべきでしょう。なお、家族会員カードの場合は、本会員がショッピングマイル・プレミアムに入会していれば自動的にサービス利用の対象になります。
1マイルあたりの価値まとめ
今回は1マイルの価値について紹介しました。日頃からマイルの換算・還元率を意識してみるのは重要です。マイルの交換率は航空券では大きく変動しますが、買い物等と比べ価値が一番大きいことは確実です。マイルが貯まっても安易に買い物等で使用せず、航空券で使うまで貯めておくなど、マイルの価値を理解した賢い使い方をしてみましょう。