2019年04月04日更新
社会保険労務士の受験資格は?必要なスキルや試験内容まで調査!
社会保険労務士は近年注目を集めている国家資格です。今回はそんな社会保険労務士の試験に必要な学歴や実務経験などの受験資格、高卒で受験資格を得る方法、さらには社会保険労務士試験の難易度や試験の内容をくわしく見ていきましょう。

目次
社会保険労務士とは
社会保険労務士は国家資格
社会保険労務士、通称「社労士」は国家資格の一つです。社会保険労務士の主な役割は企業の人事や勤務の管理、また年金などの社会保険の管理などです。労働基準法などに沿って、従業員が働きやすい職場環境を作ることも社会保険労務士の役割です。そんな社会保険労務士になるための試験について、また大卒や高卒などの受験資格などを見ていきましょう。
社会保険労務士の受験資格と必要なスキル
学歴
国家資格の一つとして人気の高い社会保険労務士は、資格試験に合格しないと資格が取得できません。社会保険労務士は受験資格がしっかりと定められています。学歴は高卒以上なのか大卒以上なのか、また実務経験が必要なのかなど社会保険労務士の詳しい資格試験内容や条件について見ていきましょう。
学歴は大卒以上
まず社会保険労務士の受験資格として、大卒以上という学歴の条件があります。大卒以外の学齢でも短大・高専卒であれば社会保険労務士の試験の受験資格をクリアしています。大卒以外の専門卒の人は、受験資格が満たされている場合とそうでない場合がありますので、しっかり確認しましょう。
大卒ではなく中退や在学中でも受験可能
大卒でなく在学中や大学中退だという人でも、必要な受験資格を満たしていれば受験可能です。このような人は卒業認定単位を62単位以上取得しているのであれば、受験資格が満たされています。しかしながら、卒業認定単位はそれぞれの学校により異なるので受験条件をよく確認するよう注意しましょう。
実務経験
大卒や高専卒であれば社会保険労務士の試験を受けることが出来ますが、高卒の人の場合、受験資格を有していません。しかし、高卒でも実務経験があれば受験資格が満たされます。つまり、高卒で社会保険労務士を目指している人は、まずは実務経験を積まなくてはならないということです。
必要な実務経験の年数
社会保険労務士の事務所や法人で3年以上の実務経験があれば高卒でも社会保険労務士の受験資格となります。また、公務員、独立行政法人、労働組合などで労働社会保険法に関する実務経験が3年以上あれば、高卒でも受験可能です。高卒で社会保険労務士の受験資格を満たすには、実務経験が必須になります。
国家資格
出典: https://inexs.jp
高卒だと3年以上の実務経験が必須となるため、受験資格を得るために非常に時間がかかります。社会保険労務士の受験資格として、所定の国家資格を有していれば受験資格として認められます。例えば、中小企業判断士、弁理士、税理士、不動産鑑定士などの試験に合格していれば、社会保険労務士の試験の受験資格となります。
実務経験と国家資格合格のどちらがよいか?
しかしながら、社会保険労務士の受験資格として認められている国家資格はどれも難易度の高い資格ばかりです。例えば、将来の開業を見込んで他の士業と合わせて社会保険労務士の資格を取りたいという場合は非常に有効的です。しかし、社会保険労務士の受験資格のために国家資格をとるというのは非常に非効率なので注意しましょう。
必要なスキル
社会保険労務士を目指すのであれば、まずは資格の取得が第一ですが、それだけではなく社会保険労務士として必要なスキルもあります。なによりも大事なのは何と言っても社会人としてのビジネスマナーです。当然のことですが、資格を取得したからといって良い社会保険労務士になれるわけではありません。
ビジネスマナーに気をつける
資格取得は必須として、基本的なビジネスマナーを身に付けないと社会で活躍することは出来ません。挨拶や一般常識などもしっかりと身につけておかないと、社会保険労務士として依頼が来ることもないでしょう。資格を取得したから安心ではありません。その後のことも見据えて仕事をしなくてはなりません。
営業力
そのほかにも重要なスキルとして営業力もあります。社会保険労務士の資格を取得したから仕事がドンドン来るというわけではありません。特に独立して事務所を構えるのであれば、自身をどんどん売り出さなくてはなりません。営業力がなければ社会保険労務士として稼ぐことは出来ません。社会保険労務士こそ営業力が重要なのです。
そのほかに必要なスキル
そのほかにも、これからのIT社会に向けてIT技術を身につけることやグローバル社会にともなって語学力が求められるようにもなるでしょう。社会保険労務士は労働にまつわる仕事ですが、資格の活かし方は多岐に渡ります。ただ資格を取得すればOKではなく、どのような社会保険労務士になりたいかよく考えましょう。
社会保険労務士の試験内容
受検案内
社会保険労務士の受験案内については、社会保険労務士センターより毎年公開されます。資格取得を考えている人は、必ず見逃さないように確認しましょう。ちなみに、平成31年度の社会保険労務士の受験案内ついては4月上旬に社会保険労務士センターより公表されます。案内を見逃して、受験しそびれたということがないように気をつけましょう。
試験日程
社会保険労務士の試験は例年通りでいけば、毎年1回開催されるようになっています。時期は毎年8月下旬の第4日曜日となることが多いです。ざっくりと試験までのスケジュールを解説すると、4月に願書配布、4月下旬から5月下旬までが願書の受付となり、8月下旬に試験、11月に合格発表という流れとなっています。詳しくは公式の案内を確認しましょう。
合格基準点
社会保険労務士試験の試験は選択式試験と択一式試験の2種類があり、どちらも「総得点」及び「各科目点」があります。どちらの試験も基準点以上の得点をとらないと合格できません。総点数が60から70%以上だと合格基準となります。また、総得点がこの合格基準でも各科目が基準以下の点数だと不合格となるので注意しましょう。
試験形式
社会保険労務士の資格取得のための試験はどのような形式で行われるのでしょうか。社会保険労務士の試験の形式はマークシート形式です。試験は選択式試験と択一式試験の2種類に分かれていますが、選択式試験では空欄に入る的確な選択肢を選び、択一式試験では5択の選択肢から答えていくようになります。
試験内容
社会保険労務士の試験内容はざっくりと言えば、労働にまつわる問題が出題されるようになります。試験内容は大きく分けて、労働関係法令・一般常識・社会関係法令の3つとなっています。この3つからまんべんなく出題されますので、どれかを特化して勉強するのではなく、全てを基準以上の点数をとれるようにしなければなりません。
労働関係法令
試験内容をさらに詳しく見ていくと、労働関係法令の出題は労働基準法や労働安全衛生法、雇用保険法といった労働にまつわる法律について出題をされます。しかし、社会保険労務士の試験はマークシート形式なので、法律の文章をすべて丸暗記するということは必要ありません。重要なのは法律を正しく理解できているかどうかです。
一般常識と社会保険関連法令
一般常識では労務管理などの労働の一般常識や社会保険に関する一般常識が問われます。社会保険関連法令では健康保険・国民年金法・厚生年金保険法の問題が出題されます。どの項目も基準の点数を満たさないと合格とならないので、全ての科目において合格基準に達成するほどの実力が必要です。
合格率と難易度
社会保険労務士の資格を取得する難易度はどのくらいなのでしょうか。社会保険労務士試験の難易度はとても高く、合格率は一桁代となっています。平成30年の合格率は6.3%と非常に低い数字となっています。ときには2%代の合格率にもなるため、取得するのが難しい資格であることがよく分かります。
社会保険労務士の年収は?
社会保険労務士の年収
資格取得までの道のりが難しい社会保険労務士ですが、実際の年収はどのくらいなのでしょうか。社会保険労務士の年収にについて詳しく見ていきましょう。まず、社会保険労務士の平均年収は527万円と厚生労働省の調査により発表されています。ちなみに、この年収は平均年齢43歳で継続勤務年数が10.5年以上による平均年収となっています。
社会保険労務士の平均年収は高め
同世代の平均年収をみると490万円ほどとなっているので、社会保険労務士は周囲に比べると年収が高いと言えるでしょう。また、社会保険労務士の過去最高平均年収額は850万円以上となったこともあるので、社会保険労務士の年収は高い水準にあると考えてもよいでしょう。しかし、あくまでも平均なので個人により平均年収は大きく変動します。
社会保険労務士は女性の平均年収も高い
社会保険労務士の男女別の平均年収を見てみると、男性の平均年収は500万円ほど、女性は550万円以上となっています。女性の平均年収は400万円以下になることも多いため、女性の社会保険労務士の平均年収は、同じ女性でも非常に高い傾向にあると言えるでしょう。女性でも高い年収を見込める仕事の一つでもあるでしょう。
独立開業で年収アップ?
また社会保険労務士の場合、経験を積んで独立開業するという人も多くいます。このような場合、本人のスキルや経験によって年収の大幅アップも見込めます。しかし、独立してそのような状態になるには、社会保険労務士のスキルや知識はもちろん、営業力や経営スキルなども求められるので注意しましょう。
社会保険労務士が人気の理由
社会保険労務士はなぜ人気なのか?
社会保険労務士は資格取得まで非常に難しい半面、毎年5万人近くの人が受験をする人気の資格です。特に平成以降は受験者がどんどんと増え、平成22年には7万人以上の人が社会保険労務士の試験を受験しています。しかし、なぜ合格率も非常に低い社会保険労務士がこれほどまでに人気なのでしょうか。社会保険労務士の人気の秘密を見ていきましょう。
仕事と両立できる
合格率が低い社会保険労務士の試験ですが、実は合格者の半数以上は会社員だというデータが発表されています。合格者のほとんどが仕事をしながら勉強し合格しているという事です。難関資格となると仕事と勉強の両立が難しいと言われていますが、社会保険労務士は試験内容も労働に関することなので会社員でも勉強しやすいというメリットがあります。
独占業務がある
社会保険労務士は独占業務が行える資格です。社会保険労務士は労働・社会保険の手続を行うこと、あるいは就業規則などの作成業務といった業務を独占的に行うことが可能です。独占業務というのはその資格が無いと行えないということなので、資格を有しているだけで大きな強みにもなります。こういった独占業務が行える資格は根強い人気があります。
実生活で役に立つ
社会保険労務士の試験内容は労働にまつわることが主です。つまり、私たちが日々行っている仕事についての知識が問われるということです。したがって、社会保険労務士の知識は実生活に結びつきやすく、なおかつ活用しやすいというメリットがあります。こういった背景も社会保険労務士の試験が人気である一つの理由でしょう。
独立開業できる
社会保険労務士の資格取得をし、事務所や企業でしっかりと経験を積んだあと独立開業する人も多いです。将来的に独立することを見据えて仕事をしているという人もいます。自分の実力次第では、企業に勤務するよりも大幅に年収をアップさせること可能となるでしょう。社会保険労務士の資格は独立開業する際にも活かされます。
年齢層が幅広い
社会保険労務士は合格者の年齢が幅広いのも特徴です。社会保険労務士の合格者のうち、約7割は35歳以上です。難関国家資格の中でも比較的合格者の年齢が高く、年齢に関係なく人気のある資格であることが分かります。社会保険労務士の活動は企業で働いた実務経験も活きてくるので、会社で実務経験をしてから合格という人も多いでしょう。
社会保険労務士を高卒で目指すには?
高卒で効率よく社会保険労務士を目指すには?
社会保険労務士の試験は短期・専門・大卒・高専卒以上の学歴が無いと受けることはできません。しかし、条件を満たせば高卒でも社会保険労務士の試験を受けることが可能となっています。もし高卒で社会保険労務士の試験を受けたいのであれば、方法としては大きく分けて3つあります。高卒で社会保険労務士の試験を受ける方法を見ていきます。
高卒で社会保険労務士試験を受ける方法
高卒で社会保険労務士の試験を受ける方法は、労働社会保険諸法令の業務に3年以上携わったことがあること、厚生労働大臣が認める国家試験に合格していること、通信制や夜間の大学で社会保険労務士の試験を受けるために必要な学歴を取得することの3つがあります。どれが良いかは自分が出来る範囲で良く考えましょう。
行政書士などの資格を取得
大卒ではなく高卒で社会保険労務士の試験を受けるために国家資格の合格を考えているのであれば、資格としては行政書士の資格を受験することをおすすめします。厚生労働省で認められている国家資格はいくつかあるものの、資格受験のための高卒以上であることの条件が定められている試験も多くあります。
行政書士は受けやすい国家試験
高卒の人が社会保険労務士の受験資格を得るために国家資格を受けるのであれば、行政書士の資格がベストです。税理士も社会保険労務士の受験資格となりますが、税理士の試験を受けるには簿記1級の資格が必要です。行政書士の場合は受験資格を特に設けていないので、高卒の人でも受験しやすい国家資格なのです。
通信制大学などで大卒資格を取得
国家資格の試験を受けるのが厳しいという高卒の人であれば、通信や夜間の大学あるいは短大などに通うのも一つの方法です。この方法をとるさいに注意したいのが、社会保険労務士を受験するための必要単位や科目などに条件を満たせるかどうかです。社会保険労務士試験の受験資格には必須科目が定められているので、あらかじめ確認しましょう。
受験資格の証明書
社会保険労務士の受験をする際には、受験資格の証明書が必要になります。大卒や短大の人であれば、卒業証書や卒業証書の写し、あるいは成績証明書を準備しましょう。国家資格の証明書となるのは、合格証書や会員証などであれば合格証明となります。あるいは実務経験を証明する書面も証明書として認められます。
社会保険労務士の受験資格・スキルと試験内容まとめ
社会保険労務士の試験について詳しく解説しました。大卒だけでなく高卒でも条件を満たせば、受験資格を得ることが可能です。現在日本では働き方改革も進められているため、社会保険労務士の資格はこれからも大いに役立つ資格となるでしょう。難易度の高い難しい資格ですが、高卒・大卒に限らず資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。