みなし配当とは?税率や計算方法まで分かりやすく徹底解説!

みなし配当は税法上では「資本の払い戻し」にあたるものの、実質的には金銭や株式が株主に配当されます。そのため、会計上では「受取配当金」とみなされますが、その計算方法や納税方法がとても複雑になります。そこで、みなし配当にかかる税率や計算方法について解説します。

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目次

  1. みなし配当とは?
  2. みなし配当の課税・税率は?
  3. みなし配当の計算方法は?
  4. みなし配当の源泉徴収納付書の書き方は?
  5. みなし配当の配当控除・確定申告は?
  6. みなし配当の支払調書とは?
  7. みなし配当の意味と税率や計算方法まとめ

みなし配当とは?

投資家だけではなく、サラリーマンや主婦、学生の間でも株式投資に興味を持っている人は少なくありませんが、最近、よく耳にするのが「みなし配当」という言葉です。普段から聞き慣れた言葉でも、正確な意味を問われると真の意味を応えられない言葉はたくさんありますが「みなし配当」もその一つだと言えます。そこで、みなし配当の正しい意味について解説します。

みなし配当の意味

みなし配当と聞くと、単純に配当の一つに解釈しがちですが、正しくは異なります。みなし配当とは、様々な理由により会社から株主に対して分配される株式もしくは金銭などの財産のことを指します。したがって、商法上の「配当」とは異なりますが、株主が会社から実質的な利益を分配されているので「配当」とみなされているのです。この点はしっかりと理解しておきましょう。また、みなし配当には2つのパターンがあります。

会社が株主へ払い戻しした場合

みなし配当の2つのパターンのうちの1つが、会社が株主に払い戻しを行った場合です。この時、会社が株主に利益を分配することとなり、みなし配当となります。会社が株主に払い戻しを行うのは「自社株式の買取(自己株式の取得)」「資本余剰金からの配当金」「会社の解散に伴う残余財産の分配」の3パターンになります。

「自己株式の買取(自己株式の取得)」は、小口の株主が多い場合、相続などによる将来的な株式の分散を防ぐため行われるものです。この時、株式の評価額は購入時よりも高くなりますから、本来の配当でなくとも、その差額が実質的には配当したと考えられます。

「資本余剰金からの配当金」とは、株主から出資された資本の一部のうち、資本金に組み入れていなかったものを配当することです。元々は出資金の一部ですから、税法では「資本の払い戻し」となります。しかし、会社法では資本金(資本余剰金を含む)と利益余剰金との明確な区別がつかないことから「配当金」として取り扱われているものです。

「会社の解散に伴う残余財産の分配」は、会社が解散する際に、売掛金の回収及び買掛金や借金等の清算を行ったうえで残った財産を株主に分配することです。残余財産には株主が出資した価値や会社の利益の価値が含まれていますから、単なる資本の払い戻しとはならず「配当」にみなされます。

組織編成で別会社の株式などを受け取る場合

会社の組織再編には、会社が他の会社と統合する「合併」、会社のいくつかの部門を他社に譲渡してその会社の株式を受け取る「会社分割」があります。この時、売り手側の会社の株主が、別会社の株式や金銭などの財産を受け取ることがありますが、これも直接的な配当ではありませんが「みなし配当」となります。

また、合併と会社分割ではその内容や手法は異なるものですが、売り手側の会社が代償として得る株式や金銭といった財産は、株主の出資であるとともに組織再編を実行したことで得た利益でもあります。したがって、合併であれ会社分割であれ株主に分配された財産は「配当」にみなされます。

ただし、みなし配当は適格要件を充した適格合併や適格分割型分割には発生しません。あくまでも適格要件を充していない非適格合併・非適格分割型分割にのみ発生することを理解しておきましょう。

みなし配当の課税・税率は?

みなし配当とは、株主が直接配当金は受け取っていないものの、自己株式の取得や組織再編により利益を得ることから、配当金を受け取ったとみなされるものです。したがって、みなし配当は所得税等の対象となり、税額も大きくなりがちです。そこで、みなし配当の課税の仕組みや税率について解説します。

自己株式を取得した法人

法人が自己株式を取得した場合、税務上では配当所得に該当します。そのため、所得税(復興所得税)及び地方税(上場企業に限る)の支払い義務が生じます。したがって、自己株式を取得した法人は源泉徴収を行い、取得した翌月10日までに適正な税額を納付しなければなりません。

また、平成22年度に施行された税制改正により、自己株式を取得した法人は、金額益金の額にみなし配当による金額を算入することとなりました。ただし、グループ会社など親会社と子会社の関係が明確な会社間で自己株式の所得を行った場合には金額益金には算入しない、いわゆる「益金不算入」となります。なお、上場会社と非上場会社の株式では税率が異なり、上場会社の場合の税率は15.315%、非上場会社の場合の税率は20.42%となります。

株式を発行法人に譲渡した個人

組織編成などで個人が株式を発行法人に譲渡した場合、みなし配当は配当所得となりますから、確定申告を行う必要があります。なお、上場会社と非上場会社の株式ではその税率が異なり、上場会社の場合の税率は15.315%、非上場会社の場合の税率は20.42%となり、これに基づいて税額を算出します。また、確定申告においては、配当控除の対象となります。

株式を発行法人に譲渡した法人

組織編成などで法人が株式を発行法人に譲渡した際に発生する、みなし配当は受取配当金となりますが、税務上では一定の金額が所得から差し引かれます。さらに、源泉所得税額は法人税額から控除することができます。なお、税率は個人同様に上場会社と非上場会社の株式では異なり、上場会社の場合の税率は15.315%、非上場会社の場合の税率は20.42%となり、これに基づいて税額を算出します。

みなし配当の計算方法は?

みなし配当の計算方法は、一定の計算式で算出できるため、とても簡単に思われがち、様々な要因によってその前段での計算が必要となるため、結果的にはとても複雑な計算方法となります。ここでは、みなし配当の計算方法について解説します。

みなし配当の計算方法

みなし配当は「株主が受け取った財産の総額―資本金などの額÷株式総数×株主の保有株式数」の計算式で算出することができます。ここでの「資本金などの額」とは、いわゆる資本金に資本余剰金を加えたものです。また、「株式総数」には未発行の株式は含みません。これをみなし配当が発生するパターンに当てはめてみると、この計算式に辿り着くまでに、様々な計算が必要なことがわかります。

例えば「資本剰余金からの配当金の支払い」のケースでみなし配当を計算する場合、資本剰余金からの配当だけでなく、利益剰余金からの配当をどう取り扱うのかを考慮しなければなりません。利益剰余金からの配当については、一般的にはみなし配当として取り扱われますが、明確な区別もないため他の配当金に合算しても差し支えありません。

つまり、資本剰余金からの配当金と、利益剰余金からの配当金を明確に区別する必要はないのです。しかし、資本剰余金からの配当金は資本の払い戻しにあたりますから、みなし配当として税務処理は行わなければなりません。そこで、株主の出資額(資本金及び資本剰余金)と利益剰余金のバランスを考慮して、配当金の全額を資本の払い戻しとせず、一定の金額に対して税務処理を行い税額を算出しますが、その計算方法は非常に複雑になります。

また「合併や会社分割にかかる組織再編」の際に発生するみなし配当の場合だと、譲渡される株式の価値をどう算定するかが重要なポイントとなります。ところが、非上場会社の場合、株価が算定されていないことも少なくありません。したがって、株価の価値を最初から算定するとなれば、対象となる会社の経営状況や労務環境など、様々な要素を持って分析・検討の必要があり、非常に複雑な計算方法となるのです。

もちろん、ここで取り上げたみなし配当の計算にかかる要因はほんの一例であり、実際には様々なパターンが考えられます。また、みなし配当は金額が大きくなりやすく、それに伴う税額も高額になることから、その計算方法は慎重に検討しなくてはなりません。そこで、適正なみなし配当を行い、正しく税額を算出するためにも、実際には税理士などプロに依頼することが得策です。

みなし配当の受取配当金の益金不算入とは?

みなし配当は税法上では「資本の払い戻し」と位置付けられていますが、株式の自己取得や会社組織の再編によって発生した財産は、実質的な配当にあたることから会社法上では、受取配当金として取り扱われます。ただし、みなし配当による受取配当金は、その一部または全部が益金不算入となり、それ以外の譲渡損益部分だけが課税対象となります。ここでは、受取配当金の益金不算入について解説します。

受取配当金の益金不算入とは

税務上の収益のことを「益金」と呼びますが、受取配当金の益金不算入とは、みなし配当による受取配当金を課税所得の対象となる益金に算入しないことです。通常、会社が投資先などから配当金を受け入れる場合「受取配当金」として、会計上では「営業外収入」に計上されることが一般的です。つまり、損益計算書では「当期純利益」となりますが、法人税上においては「課税所得」の対象外とできるのです。

なぜ益金不算入になるのか

みなし配当にかかる受取配当金が益金不算入となるのは、二重課税防ぐことが目的です。そのことを理解するために、税引前利益4,000万円、法人税1,000万円、当期純利益3,000万円、配当金800万円を例にして考えてみましょう。

株主に配当する800万円は、税引前利益4,000万円から法人税1,000万円を差し引いた、当期純利益3,000万円から算出されたものです。つまり、法人税を支払った後の当期純利益3,000万円は課税済みの金額であり、配当金800万円は課税後の利益から導かれた金額(課税済み)となります。
 

したがって、課税済みの利益から支払われた受取配当金であるにも関わらず、法人株主の課税所得である営業外収入に算入してしまうと、会計法上では課税対象となります。つまり、投資先である会社で課税された上に、株主の段階でも再び課税される二重課税となるため、みなし配当にかかる受取配当金は税務上では益金不算入として二重課税を防いでいるのです。

受取配当金の益金不算入の対象

みなし配当にかかる受取配当金は益金不算入となりますが、それに類する全ての受取配当金が益金不算入となるわけではありません。あくまでも益金不算入は、二重課税の防止を目的としたものですから、当然、配当金を支払う会社において課税されたものでなければなりません。

具体的には「剰余金の配当及び分配、利益の配当」「特定株式投資信託の分配」そして「みなし配当」の3パターンが益金不算入となります。こうして並べると、みなし配当は、いわゆる余剰金などの分配とは性質が異なるものの、実質的な利益配当であることから、同列で考えることができるのです。

反対に益金不算入の対象とならないものは「外国法人、公益法人、人格のない社団等から受ける配当」「共同組合等の事業分量分配金」「相互保険会社の基金利息」「保険会社等の契約者配当金」「名義書換失念株の配当金」「資本積立金の資本組み入れ」「短期所有株式等にかかる受取配当金」の7項目となります。これらは、二重課税にはあたらず、支払法人で損金処理していること、株主として支払いを受けていないことから対象外になります。

みなし配当の源泉徴収納付書の書き方は?

みなし配当は会計上の配当金とは異なるものの、実質的には株主が利益を得ることに変わりないので配当と同様であるとみなされます。このみなし配当は、二重課税を防ぐため益金不算入の対象となりますが、剰余金の配当金であることに変わりありませんから、源泉徴収の対象となり税率約20%がかかります。そこで、みなし配当を受けた際の源泉徴収納付書の書き方や注意点について解説します。

みなし配当が出る予測を立てる

みなし配当が発生する要因を細分化すると、「会社合併(非適格合併)」「会社分割(非適格分割型分割)」「資本の払い戻し(資本等の減少または解散に伴う残余財産の分配)」「自己株式の取得」「出資の消却・払戻し、社員の退社等による持分の払戻し等」「一定の組織再編」の6パターンになります。したがって、これらの事由が発生した場合には、みなし配当を予測し、翌月10日までに源泉徴収納付書を提出をする準備を行いましょう。

書き方は通常の配当と同じ

一般的な配当金にかかる源泉徴収には「配当金の所得税徴収計算書」を使用しますが、みなし配当についても同様の様式を使用します。また「配当金の所得税徴収計算書」の書き方も基本的には一般的な配当金の場合と同様です。例えば「支払確定年月日」欄には自己株式の取得を決議した日付を記入し、扱いも「剰余金、利益の配当」になります。

みなし配当だからといって、専用の様式を使用したり、異なった扱いをするわけではありません。源泉徴収日の翌月10日までに納税する点も同じです。したがって、みなし配当だからといって、「配当」ではないといった誤った解釈をしていると、源泉徴収の必要性にすら気付かないことになります。もちろん、税金を滞納してしまうと、ペナルティが課せられますので、源泉徴収が必要であることを正しく認識し、必ず納付日までに納税しましょう。

みなし配当の配当控除・確定申告は?

一般の受取配当金同様に、みなし配当による収益があると確定申告をしなければなりません。通常みなし配当による収入は金額が大きくなる傾向が強いので、配当控除の方法を正しく理解しておかないと、税額が膨れ上がってしまいかねません。そこで、みなし配当の配当控除や確定申告について解説します。

配当控除とは

配当控除とは確定申告を行う際、納税義務者の各種の所得を合算する総合課税を申告すると発生する控除のことであり税額にも大きく影響します。配当控除は課税対象となる課税総所得金額によって計算方法が異なるので注意が必要です。

具体定には、課税総所得金額が1,000万円以下の場合の計算方法は「配当所得×10%」となります。ただし、証券投資信託の収益の分配の場合は「配当所得×5%」が計算方法です。また、課税総所得金額が1,000万円を超える場合の計算方法は「配当所得×5%」となります。ただし、証券投資信託の収益の分配の場合は「配当所得×2.5%」が計算方法です。

配当金が10万円を超えるときの確定申告

見なし配当による配当金額が10万円を超えた場合、約20%の源泉徴収だけでなく確定申告も必要となります。この場合だと、みなし配当による配当所得は総合課税しか選ぶことができないので、納税義務者の他の所得と合算されたものが課税対象です。つまり、総合課税とすれば一般的には累進課税が適用され、所得総額が大きくなり、税額も膨らむ可能性が高まります。被扶養者の場合、扶養控除から外れることもありますから注意が必要です。

もちろん、総合課税として申告するのであれば配当控除の適用にもなりますから、計算方法を確認して慎重に控除額を算出することが大切になってきます。計算方法が間違っていると税額が大きくなる場合もありますから、正しく税額を算出するには税理士などに相談することをおすすめします。

配当金が10万円以下のときの確定申告

みなし配当による配当金額が10万円以下だった場合、税率約20%の源泉徴収は必要ですが、基本的に確定申告は要しません。ただし、確定申告を行った方が税額が少なくなり、納税義務者にとって有利になる場合がありますから、注意が必要です。また、計算期間によっては、みなし配当などによる配当金額が10万円以下でも、1回で支払われる配当金が5万円を超えると確定申告が必要となります。

差し引かれた税額が戻るケース

配当金が10万円以下であっても、確定申告した方が有利なのは株式で損失が出ている場合です。確定申告を行うことで、株式の損失を配当金から差し引くことが可能となり、源泉徴収の際に差し引かれた税額の全部もしくは一部が戻るケースが生まれるのです。したがって、株式で損失が出ている場合には、配当金額が10万円以下でも、確定申告は行うべきです。なお、税額の計算方法がわからない場合は、税理士などに相談すると良いでしょう。

みなし配当の支払調書とは?

支払調書とは配当金などの支払いを受けた納税義務者(株主)が、正しく申告しているかを関係書類と突合するために使われる法的調書の一種であり、支払いの明細が記入されたものです。一般的に支払調書は、特定の支払いをおこなった事業者等が作成し税務署に提出するものです。ここでは、みなし配当にかかる支払調書について解説します。

みなし配当の支払調書

みなし配当にかかる支払調書の正式名称は「配当等とみなす金額に関する支払調書」です。支払いを行った事業所は、みなし配当の支払い確定日から1か月以内に「配当等とみなす金額に関する支払調書」(支払調書及び支払合計書)を作成して税務署に提出しなければなりません。併せて、送付義務はないものの、納税義務者(株主)に対しても同様の支払調書を送付します。

法的書類とはいっても「配当等とみなす金額に関する支払調書」の作成はとても簡単です。ネット上には記入方法や「配当等とみなす金額に関する支払調書」のひな型も数多く掲載されていますので、記入方法がわからないということは考えられません。ただし、中小企業や零細企業、個人事業主においては、支払調書だけでなく、様々な法的書類を作成しなくてはなりませんから、支払調書を書くための時間が取れないのが正直なところでしょう。

しかし、「配当等とみなす金額に関する支払調書」は、納税義務者が正しく申告しているかを確認するものであり、間違いは許されません。そこで、最近では他の法定調書の作成方法とともに、支払調書の作成を税理士に相談する事業主が増えています。税理士に依頼すればコストはかかるものの、記入内容に不備などなく、支払調書に関するトラブルが発生することもありませんから、長い目で見ると十分にペイできるコストだと言えます。

みなし配当の意味と税率や計算方法まとめ

みなし配当とは会社が「自社株式の買取(自己株式の取得)」「資本余剰金からの配当金」「会社の解散に伴う残余財産の分配」を行った際に発生する、株主に対する「資本の払い戻し」のことです。しかし、実質的には金銭や株式が、株主に配当されることから、会計上では「受取配当金」として取り扱われることとなります。

みなし配当の計算方法はとても簡単ですが、一般の配当と明確に区別することが難しい場合もあり、結果的には複雑な計算方法を用いることになります。また、みなし配当は、一般の配当と同じ扱いですから、源泉徴収税の対象となります。この時の税率は上場しているか否かで異なり、上場会社に場合の税率は15.315%、非上場会社の税率は20.42%となります。

さらに、配当金額が10万円を超えると確定申告が必要となりますが、みなし配当は既に源泉徴収納税を納付していますから、二重課税を防ぐ観点から、その全部もしくは一部を益金不算入とすることができます。また、確定申告においては、他の配当金などと合算する総合課税とするのが一般的ですが、その際には配当控除が適用されます。

このように、みなし配当は会計上では「受取配当金」とみなされ源泉徴収の方法や税率も同様です。しかし、他の配当金と区別することが難しく、金額も高額になりがちです。また、益金不算入となる金額の算出方法や確定申告における配当控除、支払調書の見方などを誤ってしまうと、大きな損失にもつながりかねません。そこで、みなし配当が予測される場合は税理士事務所などに相談すると良いでしょう。

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