「堕ちる」の意味と由来は?「落ちる」との違いと使い方などを例文で解説!

「堕ちる」という言葉を正しく理解できているでしょうか。堕ちるを仕事の場で間違ってしまっては、意味が意味だけに失礼にあたるかもしれません。またマナーが悪いなどと言われる可能性もあります。正しく理解して、仕事の場でのマナー違反の可能性を無くしてしまいましょう。

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目次

  1. 「堕ちる」の意味や由来が気になる
  2. 「堕ちる」の意味や由来
  3. 「堕ちる」と「落ちる」の違い
  4. 「堕ちる」の使い方の例文
  5. 「堕ちる」と「墜ちる」の違い
  6. 「堕ちる」の類語
  7. 「堕ちる」の意味や由来まとめ

「堕ちる」の意味や由来が気になる

「落ちる」や「墜ちる」との使い分けが難しい「堕ちる」。これだけ見るとどう使い分けていいかわかりません。この言葉の違いはなんなのでしょうか。違いや由来が分かれば使い分けもたやすくなるでしょう。この記事では由来を特に詳しく丁寧に説明しております。

また、例文や使い方、類義語なども述べており、例文の中では「堕ちる」が出てくる山月記についても触れています。では、まず意味や由来から説明していきましょう。

「堕ちる」の意味や由来

「堕ちる」という言葉はどんな時に使うでしょうか。「堕落する(だらくする)」や「地獄に堕ちる」など、どちらかと言うと物理的なものよりも精神的なもの、抽象的なものに使われることが多いです。

「堕ちる」の辞書での意味

辞書を引いてみると、「堕ちる」の意味は「物事が好ましくない傾向や状況に陥る」や「おちこむ」など、やはりあまり良くないイメージを含んだ意味が綴られています。例文にもそういった使い方がほとんどでした。また、罠や策略にかけられることを指すときもこちらの堕ちるを使うことができます。

「堕」の漢字の意味

では、「堕ちる」ではなく「堕」単体ではどうなのでしょうか。この言葉自体にも「おちる」という意味がありますが、他にも「怠ける」や「壊す」、「落ちぶれる」などさまざまな意味を持っていました。マイナスイメージばかりの字です。どんな由来があってこの字はこんな使い方をされるようになったのでしょうか。

「堕」の由来

「堕」という字は「墮」という漢字の新字体です。新字体とは、昔印刷時などに使われていた旧字体を簡略化したものです。印刷の時には画数が多かったり難しい文字でも問題ありませんでしたが、筆記の時はそうもいきません。そういう背景があって生まれた俗に使われていた文字や、略して使っていた文字を統一しようとして生まれたのが新字体です。

旧字体と新字体という違いはあれど、そもそも「墮」と「堕」は同一の字なのです。ですので使い方は一緒ですし、「堕」の由来を語るのに「墮」という文字は欠かせません。次の項目では、「墮」という字を解体し、一つ一つ由来を紐解いていきましょう。

「墮」は下に部首があります。これは土部という脚と呼ばれるものです。土や大地を意味するもので、その上に「隋」という字が乗っており、実はこちらの隋にも「堕」と似たような意味がありました。しかし、それよりもずっと一般的に知られている「隋」の意味があります。

隋というと、かつて中国で使われていた国の名前です。遣隋使などで知られているでしょう。隋は、元々随という漢字を由来に名前をつけようとしたのですが、しんにょうを水、つまり流れ去るものだと縁起が悪いとして取ってしまいました。しかし、その国は滅んでしまいます。

さまざまな理由が重なって滅んだのですが、大規模な土木工事をやりすぎて国が疲れてしまったということが大きいのです。そこから隋には「盛り土が崩れる様子」という意味が付与されました。

つちへんの上に乗ることで「崩れ落ちた城壁」を表し、そこから「墮」は「くずれおちる」という漢字として成り立ちました。そして時が経ち、簡略化されて今の「堕」という字になったのです。

また、漢字を研究している方の目線で見ると、「堕」という字は2文字以上の漢字の形や意味を組み合わせて作られた会意文字、意味を表す文字と読みを表す文字を組み合わせてできた形声文字、2つの特徴を併せ持つ会意兼形声文字といいます。

その視点で見ると、土には「土地神を祀るため、柱のように固めた土」という意味があり、隋のこざとへんには「段のついた山」、左には「左手」「工具」、月には「切った肉」という意味があるようです。つまり、「土山で細かく切った(割いた)肉」ということになり、そこから転じて「くずれおちる」という意味になるようです。

「堕ちる」と「落ちる」の違い

前の項目で「堕ちる」の由来についてご説明しました。では、「堕ちる」「落ちる」の違いとは一体なんなのでしょうか。「落ちる」で良くないか、という声も聞こえてきそうですが、これらの違いをご説明します。

「落ちる」の意味

高いところから低いところへ移動するというのが一般的かつ主な意味です。しかし、「おちる」の中で「落ちる」が一番多くの意味を持っています。といいますか、「堕ちる」と「墜ちる」の代わりに「落ちる」を使うことが可能です。

これはどういうことかというと、一般的な社会生活で使われるとされている漢字は常用漢字と呼ばれます。その中に「堕ちる」と「墜ちる」は入っていません。では常用漢字しか使えない場面で「堕ちる」や「墜ちる」を使うべき時、どうするのか。そこで常用漢字に入っている「落ちる」が使われるというわけです。

ですので、使い方に違いはあまりありません。「堕ちる」の方に深い意味があり、「堕ちる」の代わりに汎用性の高い「落ちる」を使う事は可能です。しかし、だからと言って常用漢字以外を使える時でも「落ちる」の代わりに「堕ちる」を使う事はできません。「落ちる」は「堕ちる」には無い意味も含まれているからです。一般的な日常生活で使う場合は「落ちる」を、そうでない場合で精神的なことを言う時には「堕ちる」を使うといいでしょう。

「堕ちる」と「落ちる」の違い

「堕ちる」の使い方は先程述べた通り、精神的なものを言う時です。「落ちる」は物理的なものを言う時に多く使いますが、こちらは「おちる」全般に使っても間違いではありません。汎用性が高いので、自信がないときも落ちると表記してもいいでしょう。例えるなら、「堕ちる」が牛刀(肉を切るのに向いた包丁)だとすれば、「落ちる」は三徳包丁(万能包丁)のようなものです。

一般的な日常生活を送る場合、常用漢字である「落ちる」さえ覚えていれば問題ありません。とはいえ、その時その場に適した包丁を使うのと同じように、漢字も適した文字を使えるに越した事はありません。家庭料理では三徳包丁で充分事足りますが、使える人やこだわる人は分けて使います。漢字も同じで、使い方をわかっているのならば使った方が、自分の考えや言いたいことがよりうまく伝わります。「堕ちる」もうまく使っていきましょう。

「堕ちる」の使い方の例文

「堕ちる」という字は精神的なものを言う時に使うと説明してきました。では、具体的に言ってどのような時に使うのでしょうか。この項目では例文を交えた解説や、かの有名な「山月記」で使われた「堕ちる」についてご説明します。

「堕ちる」を使った例文

例文1、「かつて栄華を極めた男も堕ちたものだ」これは落ちぶれるという意味で使っています。落ちぶれるということは、物事が好ましくない方向に動いたということなので「堕ちる」を使うのが正しいでしょう。もちろん汎用性の高い「落ちる」でも間違いではありませんが、より正しいのは「堕ちる」です。

例文2、「あの要塞は敵の手によって堕とされた」こちらは文脈から敵の「策略や罠によって」堕とされたと予測できます。ですので、「堕ちる」の方を使うのか正しいと言えるでしょう。

例文とは少し外れますが、「堕」は「だ」とも読みます。「堕天使」や「堕落」などに使われており、目にする機会も多々あるでしょう。こちらも精神が壊れてくずれるといった意味で使われています。「堕ちる」とも合った表現です。

またこちらも少し例文とは外れますが、アニメやゲームなどの物語で「闇堕ち」という言葉がよく使われています。これは心を折られて精神的に異常な状態となり、以前持っていた信念などをどうでもいいものとしたり真逆のことを言ったりという変化のことを、闇に堕ちるという表現で言っています。

山月記で見る「堕す」

中島敦が書いた山月記にも「堕す」という表現が出てきます。送り仮名こそ違いますが、読みはそのまま「おとす」です。主人公の李徴はとある理由から虎となってしまい、「こんな獣に身を堕とすのだ」と自嘲しました。この「堕す」は一体どんな使い方をされているのか、背景も含めて例文としてとても優秀なので山月記のあらすじを軽くおさらいしつつ解説します。

山月記は李徴という男の紹介から始まります。それから場面は変わって彼の友人である袁傪という男が仕事で旅をしていました。すると人食い虎に遭ってしまい、襲われかけます。しかしその虎は袁傪を襲うのを止めた上、草むらで丸まって人の言葉で「あぶなかった」と呟くのです。その声に聞き覚えがあった袁傪は彼に語りかけます。「その声は、我が友、李徴子ではないか?」と。

李徴が虎になったことも構わず袁傪は彼の話に耳を傾けます。李徴は虎に堕ちる少し前のことから話し始めました。

李徴はプライドが高く、役人として働くことよりも詩を書くことで名声を得ようとしましたが、どうにもうまくいきません。彼は妻子を養うため、生活のために渋々地方の役人として働きました。しかし、使いっ走りのような仕事ばかりな上、かつて見下していた人々が出世しているのを見て精神的に追い詰められていきます。

ある夜、限界を迎えた彼は幻聴を聞き外に駆け出してしまいました。そうして気がつくと肉体的な変化が起き、なんと虎になっていたのです。時が経つにつれ精神的にも虎でいることの方が多くなり、袁傪と話した時には一日に数時間程度しか人でいられないと話しました。そして、李徴は袁傪に「自分の書いた詩を代わりに世に出してくれ」と頼みます。

李徴は続けて袁傪に自分の妻子についても頼みました。それから自嘲してこう言います。「飢え凍えようとする妻子のことよりも、己の乏しい詩業の方を気にかけているような男だから、こんな獣に身を堕すのだ」と。堕ちる寸前まで自分のことばかり考えていた男が、堕ちるところまで堕ちるとようやく自らの行いを悔やみました。そして最後に離れたところから袁傪に姿を見せると、その後二度と彼は李徴として現れることはありませんでした。

頭が良く詩を作るのが好きな李徴にとっては、良い状態(人間として詩を作ることができる)から悪い状態(獣と化して詩なんて作れない、野生動物を狩り生のまま食べるという彼にとって野蛮な行動をしてしまう)になったわけですから、堕すという言葉がぴったり当てはまる表現です。

「堕ちる」と「墜ちる」の違い

今度は「堕ちる」と同音であるというだけでなく、漢字の形まで似ている「墜ちる」との違いを解説していきます。

「墜ちる」の意味

「墜ちる」は大きくて重いものが落下する時に使う言葉です。「落ちる」「堕ちる」に比べて使う機会があまりないかもしれませんが、覚えておいて損は無いでしょう。例文としては飛行機が墜落する、などと言う時に使います。本来は「隊」という字がその意味を持っていたのですが、常用漢字になった際別の意味を付与されそちらが一般的になったため、土を付けて「墜」という字になりました。

また、地位に関することも「墜ちる」を使うことができます。「権力が地に墜ちる」という風に、「高いところにあったものがおちる」といった時に「墜ちる」を使います。

「堕ちる」と「墜ちる」の違い

「堕ちる」が精神的なものであれば、「墜ちる」は物理的、特に大きなもの、重いものを指して使うことが多いです。羽が墜ちるなどの使い方はしません。こちらも大抵の場合で「落ちる」で代用することが可能です。先程「落ちる」と「堕ちる」を包丁で例えましたが、それに倣うと「墜ちる」は出刃包丁(魚をさばく包丁)でしょう。「堕ちる」と「墜ちる」はどちらでも良いので、「落ちる」が万能包丁に例えられることだけ覚えれば大丈夫です。

「堕ちる」の類語

「堕ちる」について解説してきましたが、ではその類義語は一体どういったものがあるのでしょうか。誰もが一度は聞いたことがあるものから、あまり聞かないだろうというものまでご紹介します。

類語①身を亡ぼす

「身を亡ぼす」とは、三寸の舌に五尺の身を亡ぼす、ということわざに出てきます。一般的には身を滅ぼすという使い方をするでしょう。不用意に発言したことで自分の身を滅ぼすといった意味で、落ちぶれると同じ使い方をすることができるでしょう。口は災いのもとともよく似ています。

類語②人の道に背く

「人の道に背く」とは落ちぶれると似た意味です。特に、倫理的に考えて良くないことをしたり罪を犯したりと、悪い道に入ってしまうことに対してこの言葉を使うことが多いでしょう。背くというのは自分の意思でそうしていると読み取れますので、悪いことを悪いとわかっていてやった時に使うことが多いでしょう。

類語③道を踏み外す

人の道に背くのが自分の意思で悪い道に入ったのだとすれば、「道を踏み外す」とは騙された時や知らなかった時など、悪いことを悪いとわからずにやった時に使われることが多いです。

類語④うらぶれる

「うらぶれる」はあまり聞く機会が無い言葉ではないでしょうか。辞書を引くと、「落ちぶれて惨めなありさまになる」と、「堕ちる」よりも詳しく様子が描写されています。うらぶれるの方が堕ちるよりも悲惨な状況を指すのでしょう。平安時代にはすでに確認されている、とても古い言葉でもあります。

類語⑤凋落する

「凋落する」も聞く機会はあまり無さそうですが、凋落(ちょうらく)と読みます。こちらも落ちぶれるという意味を持っていますが、「堕ちる」とは少し違います。「堕ちる」が精神的なものを指すのに対して、凋落は人の容姿や家の繁栄に対して使います。秋になり植物が萎れていく様子にもこちらの凋落を使うので、類義語の中では使い方の区別が簡単でしょう。

類語⑥身を窶す

身を窶すと書くと読めないかもしれませんが、身をやつす、と書くとわかるのではないでしょうか。一般的に使われている「身を窶す」には「痩せてしまうほど物事に熱中する、思い悩む」という意味があります。例文を出すと、「身をやつして働く」や「身をやつすような恋」と言えば聞いたことがあるでしょう。

しかし、「身を窶す」には「みすぼらしい姿に変わる、目立たないように姿を変える」といった意味があります。一見落ちぶれたように見えるので「堕ちる」の類義語とされていますが、どちらかというと変装といった意味が強いのでこちらも区別が簡単な部類でしょう。

「堕ちる」の意味や由来まとめ

「堕ちる」はかつての大国を由来として持ち、精神的なことや抽象的なことを言う時に使うことができます。特定の事柄にだけ使える漢字なので使い勝手は悪いかもしれませんが、正しく使うことができれば知性の光る人だなという印象をもたれることでしょう。

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