消費税の軽減税率とは?対象品目や制度について解りやすく紹介!

2019年10月からの消費税増税に伴い経過措置として軽減税率も実施される予定です。現在までの段階で様々な情報が流れていますが、消費税が10%に増税される場合、軽減税率の導入はほぼ間違いないと思われます。混乱しないように区別を理解しておきましょう。

消費税の軽減税率とは?対象品目や制度について解りやすく紹介!のイメージ

目次

  1. 消費税の軽減税率の対象品目などを知っておこう
  2. 消費税の軽減税率制度とは?いつから施行される?
  3. 消費税の軽減税率制度の対象品目
  4. 消費税の軽減税率制度の問題点
  5. 消費税の軽減税率対策の補助金
  6. 消費税の軽減税率制度まとめ

消費税の軽減税率の対象品目などを知っておこう

消費税の軽減税率の対象品目は2種類です。「酒類及び外食を除く飲食料品」と「新聞の定期購読料」です。酒税法が適用される酒類は対象にはなりません。一見、食品と新聞は適用と思ってしまいますが、ノンアルコール飲料や甘酒など酒税法の対象外で「飲食料品」に該当するものは軽減税率の対象、医薬品に該当する栄養ドリンクは対象外、医薬品に該当しない栄養ドリンクは飲食品扱いで軽減税率が適用されるなど細かく規定されています。

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消費税の軽減税率制度とは?いつから施行される?

2019年に入り、消費税の10%増税が秒読み段階に入ってきました。今回の消費税の10%引き上げに際しては軽減税率が適用される予定です。一律に課される消費税に対して、軽減税率が適用される物品の種類についてはさまざまな疑問が噴出しています。

軽減税率制度とは?

消費税の軽減税率制度とは、特定の商品の消費税率を通常の消費税率より低く設定するという制度です。今回の消費税10%引き上げに際しては予定通りに10%に引き上げられるもの、現在の消費税8%のままで据え置かれるもの、の2種類に分かれます。特に今回は、同じ飲食品を売買した場合でも持ち帰るのか、店内で食べるのか、テイクアウトの場合とイートインの場合とで同じものでも税率が分かれるということから議論になっています。

軽減税率制度導入の目的

消費税の軽減税率制度とは、消費に対して課される租税である消費税について、「低所得者に対する経済的配慮」として、生活していく上で貧富の差なく必要なもの、主に飲食料品とそのテイクアウト、外食などの食べることに関しては特別に税率を低く抑えようというのが軽減税率制度です。ただし、本当に低所得者に対して実効性のある配慮になるのかどうかに関して意見が分かれており、いまだに議論が続いているところです。

軽減税率制度導入の流れ

1989年3月の3%消費税導入以来、1997年4月に5%、2014年4月に8%と段階的に消費税は引き上げられてきましたが、今回は消費税の軽減税率制度導入が予定されています。軽減税率はすべての税率が10%に引きあげられるまでの経過措置という位置づけですが、現在までのところ国税庁はこの経過措置の終了予定について何もコメントしていません。軽減税率がどれくらい続くのか、どのような社会情勢になったら終了なのかは未定です。

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消費税の軽減税率制度の対象品目

今回の消費税増税に伴う軽減税率制度の対象品目について見ていきます。軽減税率制度の対象は、飲食品だけではありません。国税庁は消費税の軽減税率の対象になる品目を公表しています。食品表示法に規定されている飲食料品(酒類を除く)と、週2回以上発行されている新聞が軽減税率の対象に含まれて、消費税8%に据え置かれます。同じ食品でも外食、ケータリングの食事、酒類については消費税率10%が適用になります。

①飲食料品

食品表示法に規定されている飲食料品は基本的に消費税は8%の軽減税率が適用になりますが、店内での飲食も持ち帰ることもできるファストフード店などはちょっとややこしいことになります。店内で食べる場合には外食として10%の消費税になります。外食は「飲食の設備を設置した場所で行う食事の提供」と定義されており、店内で食べる場合はこれに該当します。なお最近増えている、コンビニエンスストアのイートインも外食に含まれます。

自宅などに持ち帰って食べることを目的にテイクアウトする場合、「飲食の設備を設置した場所で行う食事の提供」は受けないので、購入しただけということで消費税には8%の軽減税率が適用されます。同じように宅配や出前も「飲食の設備を設置した場所で行う食事の提供」ではないので、単純に食料品の購入として消費税には8%の軽減税率が適用されます。

まぎらわしいのがお祭りなどの屋台で購入する軽食や、イートインコーナーのあるコンビニエンスストアで食料品を購入した場合ですが、屋台だけでテーブル・椅子等の提供がない場合は消費税8%、イートインコーナーのあるコンビニエンスストアでも持ち帰りの容器に入れられて販売された場合は消費税8%の軽減税率が適用になります。当然ですが酒類については酒税法の対象であり、免税店を除けばどこで購入しても消費税は10%かかります。

②飲食料品の譲渡

国税庁の発表している消費税の軽減税率の対象は「飲食料品の譲渡」となっています。ここでいう「飲食料品」とは食品表示法に規定する食品(酒類を除く)で、「食品」の定義は「人の飲用又は食用に供されるもの」です。どういうことかというと、たとえば工業用の塩など、口に入れることはできても飲食用以外の用途で販売されるものは「食品」に該当しません。「譲渡」とはここでは売買等の取引を指しています。

飲食料品の譲渡は、販売する業者が「人の飲用又は食用に供されるもの」として販売した場合には、購入側がそれ以外の目的で購入し使用したとしても、その取引は「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります。たとえばペットフードは消費税の軽減税率の対象ではありません。しかし、ペットにあげる目的で「食品」として販売している肉類を購入する場合には消費税の軽減税率の対象になります。

③新聞の譲渡

食料品ではない新聞が消費税の軽減税率の適用となることについて当初一部では議論になりましたが、「一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行される新聞の定期購読契約に基づく譲渡」と定義されることになりました。スポーツ新聞や業界新聞などもこの定義に該当すれば消費税の軽減税率の対象となります。

税率8%となる事例

新聞が消費税率8%の軽減税率の適用になる場合とは、「一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行される新聞の定期購読契約に基づく譲渡」ですから、週に2回以上発行されており、定期購読契約しているもの、わかりやすく言うと契約先の自宅や事務所などに毎朝配達される新聞をイメージして規定されています。

税率10%となる事例

「一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行される新聞」であっても、駅のスタンドやコンビニエンスストアなどで一部ずつ売られている場合、お客さんは駅などを利用する不特定多数でなおかつ不定期に購入しますから、定期購読契約に基づいていないので消費税の軽減税率の対象にはなりません。この場合には10%の消費税が課税されます。

なお、食品と酒類の間で話題になっているのが料理用のみりんです。酒税法上、アルコール分1%以上の飲料が酒類と分類されており、酒類は消費税の軽減税率の対象にはなりません。みりんや料理酒は酒類に該当するため、消費税の軽減税率が適用されず消費税率は10%かかりますが、みりん風調味料やノンアルコールビール、アルコール分1%未満の甘酒は消費税の軽減税率の適用対象となります。

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消費税の軽減税率制度の問題点

単純に消費税を8%から一律10%に引き上げる場合と違って、消費税の軽減税率制度を適用するには、適用対象や行為について細かく定めなければなりません。広く一般国民にもれなく適用されるものですから、不公平や間違いがないように、毎日の市民生活における日常の買い物や商取引の場で判断に迷うことがないようにと細かく規定するわけですが、制度が複雑化することによって既にいくつかの問題点が指摘されています。

軽減税率と標準税率の線引きの難しさ

指摘されている問題の一つは、消費税の標準税率の10%が課税されるものと、軽減税率8%が適用されるものの線引きの複雑さです。一見お酒のようでもアルコール分の表示を確認すると酒類に含まれないものの区別や、同じ商品でも持ち帰るかお店で食べるか、宅配かで異なるのは前記の通りですが、例えば「飲食の設備を設置した場所で行う食事の提供」の場合の「飲食の設備」とはどの程度の設備をいうのでしょうか。

「飲食に用いられる設備」とは、通常使用できるような椅子やテーブルであれば「飲食専用」の設備である必要はなく、「飲食料品の提供者」と「設備の管理者」が異なる場合とは、フードコートでは飲食料品を販売するお店と椅子やテーブルを設置するショッピングモールなどの運営は違う会社が行っているのが通常だからです。このような飲食料品に関する定義によるとフードコートは外食扱いで消費税10%、公園のベンチで食べれば8%です。

国税庁ではこのように定義していますが、実際に一般の商店や屋台、屋台で購入してベンチで食べる場合、フードコートなどに当てはめた場合、従業員が素早く正確に判断して税率を区別して代金を請求したり、購入する側が支払いをするのは慣れるまではなかなか大変なことです。特に屋台やフードコート、コンビニエンスストアなどは、子供からお年寄りまでたくさんの人が利用しますので、施行当初は多少の混乱も予想されています。

飲食店経営者やスタッフの手間が増える

特に混乱が予想されるのは、テイクアウトと店内での飲食の両方が行われている飲食店です。同じ食品なのに購入直後の行動で2%も消費税率が異なってしまいます。テイクアウトするつもりだったが予定が変わったといったこともあるでしょう。また酒類と持ち帰り食品は税率が異なりますので別々に計算が必要です。金額の細かい表示やレジでの対応、客の質問への対応など、人手不足の折、スタッフの手間が増えることが今から心配されています。

クレームにつながる可能性

飲食品、新聞、酒類を扱っているイートインスペースのあるコンビニエンスストアでは更なる混乱が予想されます。購入した食品の一部をイートインで、一部を持ち帰りにするなどの場合には同じ食品でも消費税率が変わり、レジのスタッフの手間は激増します。ちょっとした勘違いや打ち間違いなどのミスの危険も増え、レジでの顧客一人当たりへの対応時間も長くなるので客の待ち時間も長くなり、クレームにつながる可能性が大きくなります。

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消費税の軽減税率対策の補助金

消費税増税に伴う軽減税率に際し、事業者はスタッフへの教育や研修、マニュアルの整備などが必要になるのはもちろんですが、レジの交換やシステムの改修など金銭面での負担増も予想されています。そのため中小企業・小規模事業者等の方々に対しては、設備投資に関する公的補助金(「軽減税率対策補助金」)の制度があります。軽減税率対策補助金の補助対象者の定義や申請方法については細かく規定されています。

①複数税率対応レジの導入補助金

消費税の軽減税率対策補助金は複数税率対応として、A型B型に分けられています。A型は、現在レジを使用して消費税の軽減税率対象となる飲食物を販売しており、今後も継続的に販売を行うために複数税率対応レジを導入、または現在使用しているレジを改修しようとする事業者が対象です。A型の中でも複数税率対応レジの導入・改修に関する補助金はA-1型となります。

②複数税率対応レジへの改修補助金

複数税率非対応のレジを複数税率対応レジに改修する場合の費用を補助対象とし、改修補助金等の支援はA-2型となります。レジ専用ソフトウェアに改修が必要な場合の改修ソフト費用も補助の対象です。

③モバイルPOSレジシステムへの補助金

A-3型は複数税率に対応した継続的なレジ機能サービスを、タブレット・PC・スマートフォンなどの汎用端末とレシートプリンタ、キャッシュドロア、バーコードリーダーや電子マネーリーダーなどの付属機器を組み合わせてレジとして利用する場合の導入費用について補助対象区分とされています。

④POSレジシステムへの補助金

A-4型は複数税率に対応したPOSレジ、POSシステムを新規に導入、または改修する際に受けられる補助金です。サーバー、ルーター等の導入費用も対象とされています。この場合には事前登録されたソフトウェアのPOSレジ、POSシステムであることが要件となっています。A-4型は代理申請か共同申請が必要で、登録された代理申請協力店に限って行うことができるので注意が必要です。

⑤受発注システムの改修補助金

B型は、日ごろから電子的受発注システム(EDI/EOSなど)を使用して消費税の軽減税率対象となる飲食物を取引しており、今後も継続的に取引を行うために必要となる機能について改修・入れ替えようとする事業者が対象です。B型もさらに2つに分けられます。B-1型は受発注システムの改修・入替をシステムベンダー等に発注・実施する場合です。

B-1型の場合、システムの改修などには専門的な知識を要することから、請け負う指定事業者による代理申請になります。なおリース利用をする場合は、指定リース事業者を含む3者で申請することになります。

⑥受発注システムの導入補助金

B-2型は、中小企業・小規模事業者等自ら受発注システムのパッケージ製品・サービスを購入し導入する場合です。この場合には自己導入タイプになります。

補助対象の拡大

中小企業庁による軽減税率対策補助金については、全国の中小企業・小規模事業者等からの制度拡充の要望もあり、当初よりも制度を拡充するなどの対策が進められています。具体的には食券などの「券売機」も補助の対象に含めたり、レジの設置・改修、受発注システムの改修等に要する経費の「3分の2以内」であった補助率についても原則「4分の3以内」に引き上げられました。

3万円未満のレジを1台のみ導入する場合の補助率も購入金額の「4分の3以内」から「5分の4以内」に引き上げられ、3万円以上のレジを購入する場合には購入金額の4分の3が補助されます。このように消費税の軽減税率の適用は社会に広く影響を及ぼします。飲食品の販売だけではありません。消費税の軽減税率が適用されない酒類を専門に扱う酒屋でも、ちょっとしたおつまみや飲料水を扱っている場合にはレジの改修等は必要になります。
 

消費税の軽減税率は飲食品小売り事業者だけの問題ではない

今回の消費税増税に伴う軽減税率の適用は、一見食品とは関係ない事業者にとっても影響があります。例えば建築資材を仕入れ完成した建物を販売している建設業の場合、消費税率10%の取引だけのように思えますが、会社を訪れたお客さんにお茶やお菓子を供したり、取引先へ飲食料品のお歳暮やお中元などの贈答品を送る場合には軽減税率適用対象品なので、経費として計上するためには税率ごとに分けて管理する必要があります。

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消費税の軽減税率制度まとめ

2019年10月に予定されている消費税の税率引き上げに伴う軽減税率導入に関しては、すでにさまざまな面での問題点が指摘されています。とはいえすべての国民に関係することですし、引き上げと同時の軽減税率適用を見越して備えておいた方が無難です。事業者などで心配な人は国税庁のホームページなどで消費税の軽減税率について確認したほうがいいでしょう。国税庁では事例集を作成して公開しています。

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