「燈」の読み方や意味は?漢字の成り立ちや名前での使い方を解説!

「燈」という漢字やその意味を知っていますか? 旧字体なので、公用文書や新聞、通常の書籍などではあまり使われない見ることのない漢字ですが、人の名前にはいまも使われています。「燈」という漢字の成り立ちや、そこに込められた意味をお伝えします。

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目次

  1. 「燈」の読み方や意味を知っていますか?
  2. 「燈」の書き順と読み方
  3. 「燈」の意味とは?
  4. 「燈」の漢字の成り立ちとは?
  5. 「燈」の名前での使い方とは?
  6. 「燈」の読み方や意味・使い方のまとめ

「燈」の読み方や意味を知っていますか?

「燈」という漢字の読み方をご存知でしょうか? 「燈」(トウ、あかり、ともしび)は旧字体ですが人の名前にはいまも使われている漢字です。「燈」はその成り立ちから仏教と深い関係があります。「燈」という漢字はどのような意味で、どのような使い方をされるのでしょうか。

「燈」の書き順と読み方

「燈」の書き方

「燈」は、火偏に登る、と書きます。総画数は16画で、JIS第1水準の漢字です。JIS第1水準は、JISで定められた漢字の規格で、特に使用頻度の高い2965字です。常用漢字1945字とその他の人名用漢字が含まれており、「燈」はその他の人名用漢字に含まれています。

「燈」の読み方

「燈」は、音読みでは「トウ」「テイ」「チン」「チョウ」「ドン」と言った読み方を、訓読みの場合には「ひ」「ともしび」「あかり」「あかし」「とも」す、「ともし」「とぼ」す、「とぼし」「ともる」などの読み方をします。漢字検定では準1級、1級の範囲です。

「燈」の意味とは?

「燈」の意味

「燈」の意味は、ひ、ともしび、あかり、ですが、暗くて見えなかったものが見えるようになった状態を指すこともあり、また仏の教え、という意味もあります。仏教の意味では、世を照らすもの、神仏に供える灯火(燈明)といった意味もあります。

「燈」の意味の由来とは?

「燈」という漢字のもつ意味の中でも、仏の教えに関する使い方について解説します。「燈」という漢字の成り立ちは仏教と深い関係があります。仏教において、あかりはとても大事な意味を持っています。仏陀のためにあかりをともすことは、とくに徳が高い行為と考えられていました。

貧者の一灯

万灯(まんとう)とは、多くの灯という意味ですが、「長者の万灯(まんとう)より貧者の一灯」という故事をご存知でしょうか。古代の阿闍世(あじゃせ)王が釈迦を宮殿に呼んで供養をしてもらったときのことです。夜遅くなって釈迦が祇園精舎へ帰るとき、王は釈迦のために帰り道に、ずらりとたくさんの灯をともしました。それを見て町の人たちも競って灯りをともしました。

その町に住む、信心深いけれども貧乏な老女も釈迦のために灯明をかかげようと、老女の持っていたすべてのお金で油を買い、小さなあかりをともしました。王の掲げさせたたくさんの灯明は風に吹かれたり、油がつきて消えたりしてしまいましたが、老女のなけなしのお金でともしたあかりは一晩中消えなかった、という逸話からきています。 

つまり貧者の一灯とは、貧しい人の心のこもったわずかなささげ物は、お金持ちのたくさんのささげ物よりも仏にとってはまさっているという意味で、真心の尊さを示しています。そしてこの故事から、あかりのみならず、寄進についてもお金持ちのたくさんの寄進よりも、貧しい人の心のこもったわずかな寄進のほうが功徳が大きい、と言われるようになりました。

貧者の一灯の意味

このお話にはいくつかのパターンがありますが、どれも、信心深い貧しい老女の灯した小さなあかりは、決して消えることなく道を照らすのです。そして、それを見たお弟子の一人が理由を釈迦に尋ねると、釈迦は「富める者の見栄や財産から灯された大きなあかりよりも、貧しい者の灯す真心のあかりこそが、正しき道を照らすあかりである」と答えるお話もあります。いずれも仏教では有名なお話です。

仏教と燈

貧者の一灯以外でも、仏教では俗世間を闇夜に例え、その闇夜を照らすあかりを仏教の教えや悟り、知恵になぞらえた逸話や教えが数多くあります。燈はその中で重要な使い方をされるあかりを意味します。また、燈明は仏教ではそれ自体が重要な供養でもあります。

燈明の意味は重要な供養

燈明(灯明・とうみょう)とは神仏に供える灯火の事を言い、仏教においては闇(無明)を照らす智慧の光とされています。そのため、燈明を供えることは仏教では重要な供養の一つです。そしてその為に用いられる「燭台(しょくだい)」や「燈籠(灯篭)(とうろう)」「輪燈(りんとう)(仏壇に釣り下げる輪形のもの。釣灯台ともいわれる」などは仏具として独特の形のものがあります。 輪燈の使い方は2つを1対として吊り下げて使用します。

無明長夜の燈炬なり智眼くらしとかなしむな

「燈」という漢字の入る有名な言葉として、「無明長夜(むみょうじょうや)の燈炬(とうこ)なり智眼(ちげん)くらしとかなしむな」という言葉があります。この言葉の成り立ちは、親鸞聖人の晩年の著作である「正像末和讃(しょうぞうまつわさん)」の中にあります。

親鸞聖人は鎌倉時代前半から中期にかけて日本各地で教えを広めて歩いた僧です。浄土真宗の宗祖とされています。1173年~1262年に没、という説もありますが、定かではありません。幼いころに出家し、叡山(比叡山延暦寺)に入り、天台宗の堂僧として修行をしたとされています。

出典: http://shouenji.net

親鸞聖人は京都から新潟ヘ流刑になり、放免後、関東と各地を回ったという説もありますが、当時は平安時代から鎌倉時代へ移行する激動の時代のため、あまり記録が残っていません。その中でも親鸞聖人が残したとされる著作はいくつかあります。「正像末和讃(しょうぞうまつわさん)」は親鸞聖人の最晩年の著作ともいわれています。

「無明長夜」の意味

「無明長夜(むみょうじょうや)の燈炬(とうこ)なり智眼(ちげん)くらしとかなしむな」は、「いつ明けるかわからないほどの暗く長い夜の中にあってさえ、私を照らす大きな灯がある。智慧がなく愚かな身であっても、そのような自分をかなしむことはない。」という意味です。無明長夜の「無明」とは、仏教において人間の苦しみや迷いを生み出す根本的な原因と考えられている、苦しみ、怒り、執着などの人間の心の中の闇をさしています。

燈炬(とうこ)とは

燈炬(とうこ)とは、ともしびを意味します。つまり仏教の教えこそが、灯りのない、長い夜の中で苦しむ人々を照らすあかりである、ということです。ここでも「燈」はあかりとしての使い方をされています。

智眼(ちげん)くらしとかなしむなの意味

「智眼(ちげん)くらしとかなしむな」の部分は、そのまま「智眼(ちげん)暗しと悲しむな」と解釈します。つまり、智慧の眼、自らの知恵が暗い(知恵がない)といって悲しむことはないよ、と親鸞聖人はおっしゃっているのです。

「燈」の意味の成り立ちとは?

「燈」は、ともしび、という意味がありますが、「燈」は、火、に、登、という字を書きます。「燈」には高く掲げる火という意味があります。人々が仏教でいう、一切皆苦(人生は思い通りにならない)の世を歩くとき、人生という暗闇を照らすあかりとなるものが、高く掲げられた火であり、その火こそが周囲を照らし明らかにする仏の教えであるともいえます。

「燈」の漢字の成り立ちとは?

「燈」という漢字の左側の部首は「火」であり、火を部首にもつ漢字の集まりを火部といいます。火部は、「炎、火の燃えあがる様子、火の性質、」などを表します。右の、登は、冠部分を登る人の上向きの両足をハツガシラとして表し、人の両手を下の足部分が表しています。真中は祭器の象徴を表しています。「燈」という漢字は成り立ちからして祭祀と関係が深いのです。

「燈」は会意兼形成文字

「燈」という漢字は、火、と登、という漢字の会意兼形成文字です。会意兼形成文字(かいいけんけいせいもじ)とは、会意文字と形声文字を兼ねる漢字のことを言います。会意文字とは、2文字以上の漢字の形と意味を組み合わせて作られた漢字のこと(この場合は火、と登)を言い、形声文字は、意味を表す文字(漢字)(この場合は火、炎)と音(読み)を表す文字(漢字)(この場合はトウ)を組み合わせてできた漢字のことを言います。

「燈」の漢字の意味とは?

「燈」は、「燃え立つ炎」(火)と上向きの両足を象形化したもの(ハツガシラ)と、漢字の下部である足部分で両手を表し、真中に祭器を示し、祭式用の器を持って「上げる」の意味を持たせて、「上に登る火」を意味する「燈」という漢字になりました。そして文字通り、灯り、灯りをかかげる、高く掲げる火という意味になります。

「燈」は「灯」の旧字である

「燈」という字は、「灯」の旧字体です。昭和56年に、当用漢字表の「燈」の字体が常用漢字表における「灯」に改められました。しかし、人名用漢字としての使い方はそのままです。「燈」の新字体である「灯」も人名用漢字なので、「灯」「燈」どちらの漢字も名前に使えますし、それぞれの意味を込めた使い方で名付けられています。

「灯」の成り立ちと意味

「燈」の新字体である「灯」についても少しふれておきます。「灯」も「燈」と同じく会意兼形声文字です(火と、丁)。左側の「燃え立つ炎」の象形は同じなのですが、「灯」の右の丁部分には、「ひのと、強い、働き盛りの男子、しもべ、召使、細かいところまで気を配る、くぎを打つ、木を切る音や鳥の声の形容」などたくさんの意味があります。

出典: https://www.zaikei.co.jp

これらの全体を見た「灯」という漢字としては、「くぎを頭上から見た」象形となり、火を安定させる道具、「ひともし(火灯し、油などを入れて火をともす道具)」を意味する「灯」という漢字が成り立ちました。

「燈」を使った熟語

「燈」という漢字を使った熟語は、やはり火、灯りに関係のある使い方をされることが多いです。例えば、その成り立ちとも関係が深い、燈台(灯台)、燈籠(灯籠、とうろう)、行燈(行灯、あんどん)などといった使い方です。仏教関係の熟語としては、燈史(灯史、とうし)という言葉があり、仏教界における歴史書を指します。

「燈」を使った4文字熟語とその意味

「燈火可親」(灯火可親、とうかかしん)は、秋の夜長はあかりの下で読書するのに最適であるというような意味で、初秋を表す形容詞です。「孤燈一穂」(孤灯一穂、ことういっすい)は、一つだけ灯っているあかりのことで、「一穂」は一本の稲穂のことです。形が似ていることから、稲穂1本を一つの灯火に見立てたたとえですが、孤独な人のたとえとしても使われます。いずれも使い方は、とう、という読み方です。

出典: https://sansanichi.com

このほかにも、「梧前燈火」(梧前灯火、ごぜんとうか)は、「梧前」は桐の机の前という意味で、桐の机の前の明かりの下という意味から、書斎で本を読むことを表します。さらには、「新涼燈火」(新涼灯火、しんりょうとうか)は秋の涼しさはあかりの下で読書をするのにちょうどいいこと、「風前之燈」(風前之灯、ふうぜんのともしび)など、火、や燈の前にいることを指す使い方をされます。

「燈」の名前での使い方とは?

「燈」という字のともしび、あかり、あかるさ、などの意味から連想して、暖かさを想起させる名前がつけられる際に使われることが多いようです。また、闇夜を照らす火のイメージから、周囲を明るく照らす人になってほしい、明るい人になってほしい、朗らかな人になってほしい、いつも笑っていられるように、などの願いを込めた使い方で名づけをされることもあるようです。

「燈」の名前での意味とは?

出典: http://www.toukae.jp

人によっては人名に火偏の漢字は使わない方がいいと言う人もいます。火は燃えるから縁起が悪いとの考えですが、単なる火、焼き尽くす火、ととらえるか、周りを照らすあかり、ともしび、ととらえるかの違いでしかありません。このような考えが出てくること自体、燃やすか照らすかという、火というもののもつ性質の2つの側面を表しているとも言えます。

「燈」という字の意外な一面

ここまで、「燈」という字のもつ意味や仏教における意義を見てきました。「燈」という字が使われる熟語にはその成り立ちから火にまつわるものが多かったわけですが、ひとつ意外なものがあります。「九蓮宝燈」(九蓮宝灯)、その読み方は「ちゅうれんぽうとう、チューレンポートン」と読みます。ご存じない方もいるでしょう。実はこれは麻雀の言葉です。

九蓮宝燈

九蓮宝燈とは、麻雀の役のひとつで、ある形の上りになったときに認められる、難易度の高い手です。九蓮宝燈をあがった者は死ぬ、という迷信があるくらいです。そのいわれの成り立ちは、九蓮宝燈は大変に難易度が高いために、九蓮宝燈を成立させたことで自分の持つすべての運を使い果たしてしまうから、というものです。そのため、この手で上がった人の中には、お祓いをしてもらったり、厄落としをする人もいるそうです。

男の子の名前の場合

「燈」という漢字を使って男の子の名前を付ける場合、どんな名前の読み方が考えられるでしょうか。例えば、燈(あかり、あかし)、 燈煌輝(あきら)、旦燈(あさひ)、旭燈(あさひ)、絢燈(あやと)、燈哉(とうや)、碧燈(あおと)、明燈(あきと)、燈李(とうり) 、英燈(えいと) 、恵燈(けいと) 、優燈(ゆうと) 、聡燈志(さとし)など、「あか、あき」「とう、と」という読み方の場合と「ひ」という読み方をする場合があります。

いずれも、明るく、朗らかな、しっかりした、明るさで周りを照らすような人になってほしい、などの意味が込められて名付けられることが多いようです。また「燈」と組み合わせる漢字によって知的な人になってほしい、という願いだったり、男の子らしいキリっとした印象を持たせることもあるようです。

女の子の名前の場合

女の子の名前に「燈」という漢字が使われる場合には、燈香(ともか、とうか)、燈花(とうか)、燈里(あかり)、燈凛(とうり)、燈璃(あかり)、燈莉(あかり)、燈子(とうこ)、燈菜(ひな)、 燈夏(とうか) 、燈芽(ひめ)など、「とも、とう」という読み方の場合と、「あか、ひ」という読み方をする場合があります。

明るさ、朗らかさとともに、「燈」と一緒に組み合わせる漢字によって柔らかさや華やかさ、透明感、美しさなどへの願いを込めた、さらに意味のある名前となって、生まれてくる子供への祈りや愛情を込めた名前がつけられるようです。

「燈」の読み方や意味・使い方のまとめ

いかがでしたか?一見、なんて読むのだっけ? と思ってしまう漢字ですが、実はその成り立ちから、「燈」という漢字が持つ意味、その使用例まで、仏教と結びついた深い意味があり、とても由緒のある漢字です。その意味をよく知ってから改めて「燈」を見てみると、なんとなく暖かな印象を受ける漢字に思えてきます。

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